小倉慶雄 医師

【医師執筆】「男性更年期障害」の原因・症状・対策などを解説|チェックリスト付き

ほてり・不眠・抑うつといった症状から、ED(勃起不全)やAGA(男性型脱毛症)まで現れることのある男性更年期障害。この記事は、男性更年期の専門医が、なりやすい人の特徴・食事や運動などの対策方法・治療・検査費用まで書き下ろしています。男性更年期症状のセルフチェックリストも掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。

2024年1月21日掲載

この記事の執筆者
小倉慶雄 医師

大学病院で糖尿病・内分泌内科の臨床医として経験をつみ「リサーチマインドをもった診療」をモットーに日々研鑽をつむ。大学では酸化ストレス・サーチュイン遺伝子を中心とするアンチエイジングに関与する研究をおこなう。男性特有の悩みに対して医学的根拠にもとづいた、安全で質のたかい治療を提供できるメンズクリニックを目指してGran Clinicを開院。

【所属学会】
日本内科学会 認定医
日本糖尿病学会 専門医
日本抗加齢医学会 専門医
日本腎臓学会
日本内分泌学会

【受賞歴】
日本抗加齢医学会研究奨励賞(2018年度)

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1 男性更年期とは

女性が加齢にともなう卵巣機能低下・女性ホルモン低下によって、次のような様々な症状が出現することが「更年期障害」とよばれるようになりました。

  • ほてり
  • 不眠
  • 疲労
  • 集中力低下
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男性にも、原因こそ異なるものの、女性の更年期障害と同年代に同様の症状がでることが明らかとなってきたため「男性更年期」と呼ばれるようになりました

2 男性更年期障害の原因

男性が加齢にともなって、また、さらには男性を取り巻くさまざまな因子によって、男性ホルモンである「テストステロン」の血中濃度が低下することが主要な原因と考えられています。

主要としたのは、単純に加齢や老化による臓器機能の低下の可能性もあるためです。

3 男性更年期障害の初期症状

女性更年期と同様に、次のような症状が初期症状としてあらわれることが多いです。

  • ほてり
  • 不眠
  • 疲労
  • 集中力低下
  • 抑うつ 

しかしながら、次のような症状が出現してはじめて判明する場合もあります

  • EDなどの性機能障害
  • 筋力低下
  • 肥満
  • 骨粗しょう症 

4 男性更年期障害の重症の症状

症状に対する治療が必要となる疾患があらわれる可能性があります

  • EDなどの性機能障害
  • 肥満
  • 骨粗しょう症や筋力低下からの骨折
  • 脂質異常や糖尿病のような生活習慣病の新たな発症

など

5 男性更年期【チェックリスト】

このチェックリストは、国際的にもしられる男性更年期を評価する自己チェック項目(AMS:Aging Males'Symptoms)です。

各項目を1〜5点の5段階で自己評価をおこない、合計点をだして判定してください

なし軽い中程度重い非常に重い
総合的に調子が思わしくない1点2点3点4点5点
関節や筋肉の痛み1点2点3点4点5点
ひどい発汗1点2点3点4点5点
睡眠の悩み1点2点3点4点5点
よく眠くなる、しばしば疲れを感じる1点2点3点4点5点
イライラする1点2点3点4点5点
神経質になった1点2点3点4点5点
 不安感1点2点3点4点5点
からだの疲労や行動力の減退 1点2点3点4点5点
筋力の低下1点2点3点4点5点
憂うつな気分1点2点3点4点5点
「人生の絶頂期は過ぎた」と感じる1点2点3点4点5点
力尽きた、どん底にいると感じる1点2点3点4点5点
ひげの伸びが遅くなった1点2点3点4点5点
性的能力の衰え1点2点3点4点5点
早期勃起(朝立ち)の回数の減少1点2点3点4点5点
性欲の低下1点2点3点4点5点
合計点数26点以下27~36点37~49点50点以上
症状の程度なし軽度中程度重度

6 男性更年期になりやすい人の特徴

男性更年期の大きな原因は、男性ホルモンの1種である「テストステロン」の低下です。

テストステロン産生低下の大きな要因として、

  • 加齢
  • 身体・精神的なストレス
  • 睡眠不足
  • 運動不足
  • 偏った食事
  • 過度の飲酒
  • 喫煙

などがあげられます。

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上記のような生活習慣であったりストレス過多の人は、男性更年期になりやすいといえます。

7 男性更年期障害が起こりやすい年齢

男性更年期障害は、何歳からはじまって何歳までつづくのか、その年齢が気になる人もいるでしょう。

一般的にテストステロンの分泌は20歳代をピークに、加齢とともに低下していきます。

それに加えて運動習慣がへったり、家庭や仕事でのストレスが増えてくる時期である50〜60歳ごろから始まることが多いとされています。

しかしながら、前述のとおりストレスや生活習慣によっては、もっと若年から始まることも考えらえます

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男性更年期障害は、基本的には治療しなければずっと続くと考えられており、多くは「年のせい」とやり過ごしてしまっている人が多いかもしれません。

8 男性更年期とテストステロンの関係

男性更年期とテストステロンの関係について気になっている人もいると思います。

前述のとおり、男性更年期障害は男性ホルモンである「テストステロン」の血中濃度が低下することが主要な原因と考えられており、テストステロンが男性更年期の主役であるといえます。

9 男性更年期になると薄毛になる?

男性の抜け毛や薄毛には、男性ホルモンのテストステロンが体内で変化した「ジヒドロテストステロン」という物質の増加が関与していることがわかっています。

テストステロンの量

●これまでは、テストステロンが多すぎることがジヒドロテストステロンの増加につながって、抜け毛が増えたり薄毛につながりうると言われてきました。

●しかしその一方で、テストステロンの量が少なすぎると、それを補うために、逆にジヒドロテストステロンの生成量が増えてしまうことが分かってきました。

つまり現在では、テストステロンは多すぎても少なすぎても抜け毛の増加や薄毛につながってしまうと考えられています。

10 男性更年期の性生活について

男性ホルモンの「テストステロン」は男性機能に関連がふかく、体内のテストステロンの低下が、次のような症状を引き起こしやすくするということが大規模な研究で明らかになっています。

  • 勃起機能
  • 性欲低下
  • 射精能力の低下
  • 精子量の低下
  • 精子形態の異常
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勃起機能の低下の面においては、バイアグラをはじめとする「PDE5阻害薬」の使用が効果的であると考えられていますが、性欲の低下などには効果がない可能性もあります

その場合は「テストステロン補充療法」の併用が必要となるかもしれません。

11 男性更年期とアルコールについて

「血液中の急なアルコールの濃度上昇が、テストステロンの産生を低下させる」という研究結果が報告されており、アルコール量がおおくなるような飲み方は、男性更年期障害に影響を与えると考えられます。

また、テストステロンは睡眠中に分泌量が増えることもわかっており、寝る前にアルコールを摂取することで、睡眠中にアルコール分解が優先されてしまいテストステロン分泌が低下することもわかっています。

以上の点から、アルコールの過剰摂取は男性更年期障害になるリスクが上昇するといえるでしょう。

12 男性更年期の予防・対策方法

テストステロンの高度の低下は、医学的な補充療法などが必要となる可能性がありますが、食事や運動によってテストステロンの産生をある程度は増やすことができることが分かっています。

それでは、具体的に見ていきましょう。

12.1 食事

食事から摂取する栄養素は、男性ホルモンの「テストステロン」をふやす上で重要となります。

動物性のタンパク質

テストステロン増加と密接に関連しているのは、タンパク質だといわれています。

肉や乳製品にふくまれる動物性タンパク質を摂取することは、テストステロンを増加させて、筋肉量の増加にもつながるとされています。

動物性タンパク質は、

  • 牛肉
  • 豚肉
  • 鳥肉

などに含まれており、さまざまな部位を食べることが大切です。

動物性の脂肪

動物性の脂肪もある程度摂取することで、テストステロンの増加につながることがわかっています。

動物性の脂肪は、動物性のタンパク質と同様に、牛肉・豚肉・鳥肉・魚・乳製品などにふくまれています。

摂取カロリー

摂取カロリーが少ない状態であると、テストステロンの低下につながることも分かっています。

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以上をまとめると、炭水化物・タンパク質・脂肪をバランスよく摂取し、身長・体重・活動量にあわせて適切カロリーを摂取することで、テストステロン増加につなげることができます

ビタミン・ミネラル類

また、ビタミンA・D・Eや、微量元素である亜鉛やマグネシウムを摂取することもテストステロン増加につながることがわかっています。

ビタミンAをふくむ食品
・レバー
・卵黄
・人参
ビタミンDをふくむ食品
・しいたけやきくらげなどのキノコ類
・シャケ
・しらす
・チーズ
ビタミンEをふくむ食品
・アーモンドや落下生などのナッツ類
・うなぎ
・たらこ
・かぼちゃ
亜鉛をふくむ食品
・カキ貝やホタテ貝などの貝類
・ナッツ類
・イワシ
・卵
・チーズ
マグネシウムをふくむ食品
・わかめやひじきなどの海藻類
・そば
・大豆
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さまざまな食品を、適切にバランスよく摂取することが重要です。

12.2 運動

運動もテストステロン増加に関連しているとされます。

とくに無酸素運動に分類され、筋肉に負荷をかける「レジスタンス運動」は、筋肉内のテストステロンを受けとる受容体を増やすといわれ、それに対応して体内のテストステロン産生も増えるというメカニズムがわかっています。

代表的なレジスタンス運動

  • スクワット、腕立て伏せ、腹筋などの筋トレ
  • ダンベルなどの道具を用いた運動
  • 階段の上り下りや水中歩行でもOK

ただし、筋肉構造が変化するまでには時間がかかります。

定期的な運動が必要と考えられるので、少ない回数や少ない時間からでよいので継続することを心がけましょう

13 男性更年期とうつ病について

テストステロンは脳神経系にも作用することがわかっており、性欲をはじめとする気分や、身体の疲労感に影響を与えるとされています。

テストステロン低下が、うつ病や認知機能低下につながる可能性も報告されています。

実際にうつ病と診断された男性の血中テストステロン値は、そうでない同年代の男性と比較して統計学的に有意に低かった、という研究結果があります。

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男性更年期障害の症状の中にうつ傾向の症状もふくまれており、テストステロン低下が関連している可能性があります

14 男性更年期と自律神経失調症について

自律神経は、主に「交感神経」と「副交感神経」の活動により、これらの機能を無意識のうちに調節しています。

  • 呼吸
  • 血液循環
  • 体温調節
  • 消化
  • 排泄
  • 生殖
  • 免疫 など

前述のとおり、テストステロンは脳神経系に作用することがわかっており、実際にテストステロンが低値の男性は自律神経の反応が悪いことが報告されています。

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男性更年期障害の症状の中に、ほてり・めまいといった「自律神経失調症」の様な症状がふくまれているのも、テストステロン低下が関連している可能性があります。

15 男性更年期は性格が変わる?

男性更年期で性格が変わる、という話を聞いたことがあるかも知れません。

結論からお伝えすると、男性更年期で性格が変わったと見られることはありえます

テストステロン低下
前述のとおり、テストステロンは脳神経系に作用することがわかっています。その中の作用のひとつに、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」の分泌に影響を与えるというものがあります。

テストステロン低下が、セロトニン分泌の不安定さにつながるとされているのです。
セロトニン低下
セロトニン低下によって、精神が不安定になる可能性が示唆されています。

セロトニンは、ほかの神経伝達物質であるドパミン(喜び・快楽など)やノルアドレナリン(恐怖・驚きなど)などの情報をコントロールし、精神を安定させる働きがあります。
性格が変わる
精神が不安的になることで、「性格が変わった」と見られることがあるでしょう。

16 男性更年期障害の治療

男性更年期障害を治療するにあたって「何科を受診すればよいか分からない」「保険は適用されるのか」など、心配なこともあると思います。

ここでは治療に関する情報をお伝えしますので、参考にしてみてください。

16.1 何科を受診するか

出現した症状によって異なりますが、テストステロン低下が関与している可能性が高いため、

  • テストステロンについて詳しい泌尿器科
  • あるいは、内分泌内科

の受診がおすすめです。

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私が勤めているような「メンズクリニック」の中でも、男性更年期障害を扱っている所があると思いますので、ホームページなどでチェックしてから受診するのがよいでしょう。

ただし、

  • 勃起不全
  • 薄毛
  • 生活習慣病
  • 骨粗しょう症

などが併発している場合は、複数の診療科を受診する必要があるかもしれません

16.2 検査方法

男性更年期障害の検査方法ですが、これも出現している症状によって異なりますが、

  • 問診や身体診察
  • 筋肉量や脂肪量を測定する体組成分析
  • ホルモン値を直接測定できる血液検査

などがあげられます。

さらに、爪や毛髪で「テストステロン値」や「ストレス値」をチェックすることが可能な医院もあります。

その他の検査が必要なケースも

ただし、勃起不全・薄毛・生活習慣病・骨粗しょう症などが併発している場合は、それぞれに対応する検査が必要となる場合もあるかもしれません。

16.3 検査費用の相場

男性更年期障害の検査のみであれば、それほど価格はかからないと考えます。

高くても10,000円以内で上記の検査を受けることができると思いますし、保険診療可能な症状であれば、さらに低い値段で検査を受けられるかもしれません。

16.4 保険適用について

保険適用かどうかは、男性更年期障害の出現している症状によります

保険適用のケース

  • 生活習慣病や骨粗しょう症がみられた場合は、保険診療内での治療が可能になる
  • テストステロン補充に関しては、その数値によって重症と判断された場合は、保険適用になる可能性がある

自由診療のケース

ED(勃起不全)やAGA(男性型脱毛症)などは保険適用の治療ができないので、これらの症状が出ている場合は自由診療・治療になる

17 男性更年期障害は治らない?

男性更年期障害は治らないもの、というイメージをもつ人もいるようです。

次のような場合は、治癒に長い時間がかかる可能性は否定できません

  • テストステロンの低下が重度
  • 併発しているED(勃起不全)が重度
  • 生活習慣病の中でも糖尿病などが併発している
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また、テストステロン低下がストレス生活習慣である可能性が高い場合で、そのストレスの回避や生活習慣が変化できない時(生活環境や仕事の変更は難しい場合が多いと思います)は、完全に治すことが困難となる可能性はあります。

18 メンズクリニック Gran Clinic 紹介

石川県・金沢駅から徒歩3分に位置するGran Clinicは、「北陸に男性医療を根付かせる」をミッションとするメンズクリニックです。

男性更年期・ED(勃起障害)・AGA(男性型脱毛症)治療をはじめ、医療痩身などの施術メニューもそろっています。

男性特有のお悩みから美容健康まで、それぞれの分野の専門医を配置して、その専門医たちが構築した独自メソッドで治療をおこなっています。

クリニックの内装も男性目線で設計されており、施術室はプライバシーにも配慮。

「誰にも相談できない」「分かってもらえない」と悩んでいる人は、専門医に相談してみてはいかがでしょうか。

所在地石川県金沢市本町2丁目15-1
ポルテ金沢地下1階
アクセス・JR金沢駅地下から直結
・提携駐車場は日航ホテル、ポルテ金沢地下駐車場
電話番号076-204-8085
[受付時間] 月〜日 10:00〜19:00
ホームページhttps://gran-clinic.jp/

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※この記事に掲載の情報は、効果効能を保証するものではありません。